こうすれば文法はやさしくなる

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日経ビジネスで池田 和弘氏は次のように言っています。

英語につまずかないためにまず大切なのは「読み上げ力」である、と前回のコラムでお話ししました。その次が語彙力で、そして文法となります。このうち、語彙については短期間に爆発的にということであれば、取りあえずは私の書籍もしくはアプリをお勧めします。和文の中に英単語が埋め込まれているため、超高速で頭に入ります。

ここでも、「見て読めるようにする」がポイントで、これさえできれば、意味は「すでに知っている」ので簡単に身に付くわけです。

たとえば、「ダウンロードする」という言葉はだれでも知っていますね。これを「downloadする」にするだけのことです。実際にはもう少し長い和文を使いますが、このようにして和文の中に単語を入れると、ごく自然に無理なく頭に入るわけです。こうして短期間に高速で語彙を増やすと、すぐに実際の英文の中に覚えた単語が出てきますので、そこでニュアンスや用法などを理解していきます。実際の英文で使われ方を学ぶのはリアルでワクワク感があるものです。

さて、残ったものは文法となりますが、これは少々のことでは乗り越えることはできません。なぜなら、私もかれこれ50冊程度の文法書に目を通して来ていますが、そのほとんどが英語を徹底的に分解して説明しているからです。このような方法を要素還元論といいますが、説明し切ろうとするとすればするほど当然ながら話は長くややこしくなり、矛盾なども表面化しやすくなります。

一方で、ごくわずかですが、新しい英語のとらえ方を紹介するものも出始めています。これは認知文法と呼ばれるものに基づく解説方法ですが、この場合、前置詞など、いくつかの点は分かり易く説明できるのですが、英文の構造をうまく説明することができません。

昔と比べて今の文法書が確実に進歩していると感じる点は、イラストが増えたという点です(これだけでも、とても有り難いことですが)。

それでも文法書だけが問題なのであれば、まだ救われるのですが、演習用の問題集の方も奇妙な発問がまだまだ残っています。たとえば、「つぎの英文と同じ文型の英文を選びなさい」というのはその典型です。これは5文型についての発問ですが、これで苦労したのは私だけではないと思います。百歩譲って、たとえ5文型が必要なものだとしても、学ぶ側にその分類を強いると大きな傷を与えることが往々にしてあります。

目的語って何ですか? 補語って何ですか? そもそも現代文法では目的語と補語を区別しません。どちらも「補完する語」(complementizer)と呼ばれています。

他にも態や変換なども、あまり意味のある練習のようには思えません。普通の文も受け身の文もどちらも独立して存在しているからです。たとえば、ここに日本語を学んでいる外国人がいるとして、「彼女はその猫が好きです」という文を懸命に「受け身形」に変換しようとしていると、あなたはどう思うでしょうか。また、そのような問題がゾロゾロ並んでいるのを見るとどう思うでしょうか。きっと大きな違和感を感じるはずです。

話法の転換も同じことで、基本的に言って、英語力とはあまり関係の無いいびつな演習です。

こういった点をよく理解して悪問を避けるようにすると、英文法ははるかに簡単に習得できるようになります。

もし、あなたが英語を一から学び直そうとしているのであれば、文法の解説ではなく、英文の「形と意味」に焦点を当てることをお勧めします。「英文のマスタ―キー」について知るだけでも、英語はグッと易しくつかめるようになります。

また、そこからさらに一歩進める方法もあります。それは、いくつかの文法項目にわたって、分断して解説されるものを、英語の「形」と「意味」で統一的に理解する方法です。

たとえばwhenの例を挙げると、文法項目として①疑問代名詞、②関係副詞、③接続詞などと思いつくだけでも3つの項目でバラバラに扱われます。しかし、発想を変え、whenには初めから「①いつ?②そのとき」という意味があると考えるとどうなるでしょうか。文法項目について何も知らなくても、しっかりと「受信」することが出来るようになります。

このコラムの中で何度か触れていますが、私は文法を不要だとは考えていません。むしろ逆です。「しっかりと受信するための最低限の文法」は必要だと思っています。しかし、文法問題のための文法や、受信のためなのか発信のためなのかが区別されていない文法(つまりこれまでの文法)は、無駄が多いと考えています。

よく大学受験のため、あるいは高校受験のための文法という言葉を耳にしますが、文法や語法問題は詳細な解説がなくても8割程度は解けるようになります。残り2割をどうするかはあなた次第です。2割に取り組んでパーフェクトを求めると、英語の学習はほぼ確実に「茨の道」になります。それを選ぶのか、それとも取りあえず8割で手を打って、後の2割は徐々に英語に慣れる中で身に付けるか、ここが運命の分かれ目です。

最後に、この点に関連した面白い話をしておきますと、海外で英語を身に付けた人が日本に帰って来て英語の先生になろうとすると、巨大な障壁にぶつかります。それは、「生徒の質問に答えられない」「文法や語法のポイントが説明できない」ということです。つまり、彼らは実際に英語に触れ、日々英語を使う中で、文字通り体で英語を覚えたため、「こう言いたいときには、こう言う」(=意味と形)としか説明できないのです。

文法ガチガチが1つの極端であるとすると、この例はその対極にあります。

ここにある巨大な溝を埋める方策はないのでしょうか。それが、私の提唱する「受信文法」です。

論説文にせよ小説にせよ、はたまたニュースの英語にせよ、私たちに与えられた英文は、すべて文法的にも語法的にも正しいものです。それなら、あれこれと悩まずに、まず素直に「意味を受け取る」ということに集中すればどうでしょうか。しっかりと「受け取る」ことができれば、適切な訓練を行うことで、しっかりとしたアウトプットにつながっていきます。

英語の「形」と「意味」で統一的に理解する方法は用法基盤と言う考えです。しかし、まず素直に「意味を受け取る」ということに集中すると言うのは事例基盤の考えです。つまり文法を否定した考えです。

2つの良いところ取りをするのは不誠実な教え方です。

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